2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

嵐の夜


夏のある日、嵐がやってきた。



テレビのニュースは、嵐の大きさをことさら騒ぎ立てていた。
あたしは部屋に閉じこもり、ただじっと外を眺めていた。
吹きすさぶ風、叩きつける雨。
白く煙る街の景色は、どこか幻想的で。
あたしに憂き世の物足りなさを忘れさせてくれた。
p29.jpg



あたしが物足りないと思っているのは、
あなたがいないから。
ココに、たった今、あたしの側に、あなたがいないから。
あなたのことを考える。
あたしのたったひとりのヒト。
あなたにとって、あたしはたったひとりのヒトだろうか。


外は嵐。
いろんなモノが舞い散る風。
あたしの憂鬱も一緒に飛ばしてしまいたい。
そう思って、窓を開けた。
一気に吹き込む雨と風。
あたしの身体はびしょ濡れになった。
夏なのに、冷たい雨で、少しびっくりした。
だけど
本当にあたしを冷たくできるのは、あなただけ。
あたしを粉々に出来るのは、あなただけ。
ねぇ、あなた。
あたしを壊して。
粉々にして、この風に舞わせて。
もう何も考えなくてもいいように。


熱いシャワーを浴びて、
裸のまま、ベッドに横たわる。
bath02.jpg

あなたがあたしに触れるように、あたしは自分を触ってみる。
身体はすぐに熱くなるけど、あたしはどこか醒めている。
本当にあたしを熱くできるのは、あなただけ。
あたしを蕩々に出来るのは、あなただけ。
ねぇ、あなた。
あたしを融かして。
蕩々にして、この雨に流して。
もう何も考えられなくなるように。


電話が鳴る。
あなたの声。
あたしの身体はもう濡れ始めている。
それだけで。
たったそれだけのことで。
あたしの身体は、あたし自身は、もう
あなたなしでは何も感じることが出来ない。



テーマ : 女が書く、官能小説
ジャンル : アダルト

コメントの投稿

非公開コメント

ノータイトル

貴女のこのおハナシを、オレの頭の中のスクリーンで
映画のようなシーンにして見たら、とても切ないものに
なったヨ。タイトルがつけられない。
貴女の部屋の電話のベルを鳴らすのが、
このオレじゃないのが悔しいネ。

なんど読み返したことでしょう。
安っぽいレスがつけられません。
圧巻です。

ありがとうございます。

ウルフさん、柏木さん、
まりあの切ない気持ちを表してみました。
夜になると、
時々、不安な気持ちがふくれあがってきて、
どうしようもなくなることがあります。
それははっきりとした形ではなく、
何とも形容しがたいモノで。
そう言ったものを「嵐の夜」として
表現したのですが。

切なさが伝わっただけで、
うれしいです。

でも、エロくなくて、ごめんなさい。(笑)
プロフィール

まりあ

  • Author:まりあ
  • 普段はごく普通のOLですが、
    夜はエロ小説家気取りのまりあです。
    なかなか更新できないのですが、
    楽しんで書いていこうと思います。

    皆さんのコメントやメールが励みになります。
    お話の感想やリクエストなど、
    お言葉を残してくださいね♪
カレンダー
04 | 2024/05 | 06
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
カテゴリー
リンク
月別アーカイブ
最近の記事+コメント
カウンター
最近のトラックバック
ブログ内検索
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる