朝、目覚めると、気怠い感じが残っていた。
あれは夢だったのか、現実だったのか。
わたしは、そっと首筋を撫でた。
見知らぬ街のオフィス街。
わたしは紺地に細い白のストライプが入ったスーツを着て、
薄墨色のストッキング、普段履くよりもややヒールの高い黒いハイヒールを履いて、
その街を足早に歩いていた。
片手には、黒いビジネスバッグ。
可愛げがなさすぎるよ、と何時だったか同僚にからかわれて、
それ以来、あまり出番がなくなっていたはずなのに。
「遅れちゃう。」
何に遅れるかも良く理解しないまま、
わたしは先を急いでいた。
そして角を曲がったとき。
不意にわたしの目の前にあなたが現れた。
「まりあ。」
優しい声。
「お久しぶりね。」
その瞬間、わたしはあなたに逢うために、急いでここまで来たのだと知る。
「ずっと気になってたんだ。君が急に僕の目の前から消えたから。」
「別に隠れんぼしてたわけじゃないわ。・・・ちょっと、そう、ほんのちょっと、忙しかっただけ。」
わたしはあなたの黒い瞳を見つめる。
あなたの瞳にわたしが映っているのを確認して、ほんの少しほっとする。
「逢いたかったんだ。」
あなたはそういって、わたしを抱きしめた。
「フフッ、子供みたいよ、あなた。」
本当は嬉しくてたまらないのに、わたしは余裕のある振りをして笑ってみる。
「僕には時間も空間の隔たりも関係ないと思っていたけど、君だけは違うみたいだ。」
あなたの熱い吐息がわたしの襟元を掠める。
それだけでわたしのカラダが熱くなっていく。
「・・・わたしも・・・逢いたかったわ。」
ようやく本音を呟いて、あなたとの距離を少しでも縮めようとした。
「まりあ。」
あなたは呟いて、わたしの首筋に冷たい唇を寄せた。
「いいわ・・・・」
わたしはうっとりと目を閉じる。
「・・・んあっ・・・・」
一瞬の躊躇いのあと、あなたがわたしの首筋を吸う。
吸われながら、そこから広がる快感に身を委ね、ここが街角であることを忘れ、
わたしはあなたの左足に自分の右足を絡ませた。
そして熱くなっているカラダをあなたに擦りつける。
「こんなところで・・・フシダラだな・・・・でも、フシダラな君が大好きだよ。」
あなたはあなたの持つ魔力でわたしたち二人をふんわりとくるんで、
周りの喧噪と隔たった。
わたしはもどかしげにあなたのシャツを剥ぐ。
あなたもわたしのジャケットを取り、ブラウスを引き裂くようにして、
わたしの胸を露わにすると、白い谷間に牙を突き立てる。
「くぅっ・・・んはっ・・・」
白い肌が薄ピンクへと染まる。
あなたのもう一つの牙もわたしを求めている。
「早くっ・・・」
わたしが急かすのに、あなたはわざと焦らすように、
ハイヒールを脱がせて、薄墨色の爪先に舌を這わせる。
「あぁ、もうっ・・・」
わたしは焦れて、あなたをその場に押し倒す。
「ほら、これならどう?」
大胆にもわたしはあなたの顔を跨いで、太腿であなたの頬を挟んで微笑む。
「すごくイヤらしい顔をしてる、まりあ・・・綺麗だ・・・」
あなたはそういうと、太腿をねっとりと舐め上げて、
内腿の柔らかい部分に牙を立てた。
ツツッ・・・
薄墨色の薄いストッキングは耐えかねて、ほつれを走らせる。
白い肌がそこだけ露わになって、ゾクゾクするような官能がたち上る。
「もうダメ、これ以上待てないわ。」
わたしは、自分でストッキングのほつれを拡げると、
ショーツを脱がずに、そっとずらして、あなたの肉牙を自らの中に迎え入れた。
「あぁぁぁ、こんなイヤらしいわたしを許して・・・・」
自分で自分の行為にさらに興奮が高まって。
「あぁぁ、だめ、あんっ、あんっ、あんっ・・・・」
あなたに覆い被さるように、腰を激しく使いながら、登り詰める・・・・
ふと気づくと、自宅の自分のベッドの中。
カラダはまだ熱く燃えていて。
今のは・・・夢?
外はもう白々と明けていた。
テーマ : 女が書く官能小説
ジャンル : アダルト