今夜も、雨、か。。。
キッチンで作ったカクテルを手に、ベランダの窓辺に立って外を眺める。
眼下に広がる風景は、星空のよう。
雨で曇る空の代わりに、地上に広がる星を眺めよう。
パソコンが低いモーター音を響かせて、
暗い部屋に仄白い灯りを投げている。
そろそろ寝ようかな。
いつの間にか空になったカクテルグラスに視線を投げて、
もう一杯だけね、と呟く。
「貴女は本当に酒が強い」
いつだったか、あの人に言われた言葉が耳の奥に蘇る。
あの時のあの人の笑顔と匂いとともに。
ふふっ。
じゃあ、今夜最後のカクテルはこれに決まりね。
Between the sheets。
ブランデーベースの香り豊かな大人のカクテル。
「シーツの間で」なんて。
ちょっと意味深。
あの人といつか一緒に飲みたいカクテル。
きっとあたしがこのカクテルを頼んだら、
いろんなコトを想像してドキドキするんじゃないかしら。
もし少しぎこちない笑顔で、
「そんなに飲んでも大丈夫?」
そう言われたら。
「ええ。次に飲むカクテルももう決めてるの。」
って答えよう。
きっとあの人は、あの時のように「貴女は本当に酒が強い」と
笑ってくれるはず。
でもその笑顔もすぐに凍り付くわ。
だって。
次に頼むカクテルは「オーガズム」。
ほら。
ふふふっ。
顔を赤くして、視線が泳いで。
もうあたしの顔なんて、きっと見れないの。
あたしより随分と年上なはずなのに、そういう純情なところ、とっても好きよ。
あの人に、いろんな想像をさせたくて。
あたしはパソコンの前に座った。
そして・・・いろんな意味を行間に込めて、メールを打つの。
「窓を打つ雨音をBGMに、Between the sheetsで酔っています。」
パソコンの電源を落とすとあたしは本当にシーツの間に潜り込んだ。
雨はまだ音もなく降り続く。
テーマ : 女が書く官能小説
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