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遠いあなたへ (A)


「少し飲み過ぎなんじゃありませんか?」
誰も座っていないはずの隣の席に、フワリと漂う甘い香り。
それが貴女の放つ芳香だと思ったのも束の間。
気配とともにそれは、瞬く間に消えていった。






もう一杯、お代わりするはずが、急に気が変わったのは、
やはり貴女のせいだろうか。
少しほろ酔い気分のまま。
終電に揺られて自宅に戻れば、子供はもちろん、妻もすでに夢の中。
スーツを脱いで、ネクタイを緩め、
書斎のパソコンの前に座って、いつの間にかスイッチを入れている。
あぁ、今夜は早く寝るつもりだったのにな。
だけどどうしても気になって。
メールボックスを開いてみたら。
ほら。
貴女からのメールが届いていた。
「窓を打つ雨音をBGMに、Between the sheetsで酔っています。」
ふふっ。
相変わらず、強いな。
ビールを少し飲んだだけでほろ酔いの俺と比べて、貴女は本当に酒が強い。
その証拠に今夜も。
Between the sheetsなんて意味深な名前のカクテルで、
俺の心をかき乱す。
一人で飲んでいるのか・・・それとも誰かと・・・・。
酔った貴女を抱くように歩く男の姿を想像して、
心の中が苦くなる。
男が貴女の腰に腕を回して、貴女は男の頸に腕をかける。
少し挑戦的な視線を男に投げると、
男は一瞬にして貴女と恋に落ちる。
そこから先は・・・
貴女がベッドの中で長い髪を乱しながら、身体をくねらせる。
溢れる声を抑えようとして、ほっそりとした白い小指を
真っ赤な口紅で彩られた唇に寄せ、歯を立てる。
それでも抑えきれない甘やかな声は、その唇から洩れ、
男の興奮をさらに煽る。
あぁぁ、貴女のとろけるような視線に見つめられると、
自制心なんてどこかに飛んでいってしまう。
もっと貴女を狂わせたくて、もっと貴女を歓ばせたくて・・・・

「こんな夜はあなたと一緒に過ごしたい。」
メールの最後にそう記されているのに気づいて、
すぐに気分はまた極上に戻る。
もしかして、貴女にはこんな俺の心の動きは全て読まれているのだろうか。
まぁ、それもいいさ。
随分と年下のはずの貴女に、すっかり俺は参ってるんだから。
「同僚と飲んできた。隣の席に貴女の気配を感じたよ。」
そんな風にメールの返事を打つ。
だけど。
貴女のメールを読んで俺の心が如何に乱れたかは決して教えない。
乱れつつも、他の男と貴女の淫らな姿を思い描いて、
そしていつの間にか男が俺に入れ替わって、
貴女を終わりもないほどに狂わせたか、なんてことも。
絶対絶対秘密にする。


こうして予想外に夜更かしした俺の夜は静かにゆっくり、過ぎていく。


テーマ : 女が書く官能小説
ジャンル : アダルト

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真夜中のみそひともじ

なまめいたシーツの主はだれ?と問う
     私をかわすきみは小悪魔

即興ですが。^^
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  • 普段はごく普通のOLですが、
    夜はエロ小説家気取りのまりあです。
    なかなか更新できないのですが、
    楽しんで書いていこうと思います。

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