詩歌
眠れぬ夜に、あなたを想う。
今頃何をしているのだろう。
今頃誰と一緒にいるのだろう。
あなたの傍で幸せな微笑みを浮かべているのは
いったいどんな女性なのだろう。
あなたと出会ったのは、雨の降る夜だった。
あなたは少しだけ雨に濡れて、わたしの前に現れた。
柔らかな声と優しい話し方がとても好きだった。
冷たい瞳をしていたけれど、それはほんの一瞬で。
本当はとても優しい人だった。
くだらないことでも二人で大笑いしたり、
悲しい映画を見に行って、二人とも涙を隠せなかったり、
つまらないことでつまらないケンカをしたりした。
だけどその一つ一つが、とても幸せだった。
あなたに逢えてあなたを愛して、
わたしは幸せだった。
あなたはそれを本当にわかってくれていただろうか。
わたしはそれを十分に伝えきれていただろうか。
もうあなたに逢えないかもしれないけれど
わたしは今でもあなたを愛している。
それだけでも伝えたくて。
何度もあなたに電話をかけようとするけれど、
いつも途中で受話器を置いてしまう。
あなたの声を聞いたら、
きっとわたしは泣いてしまうから。
優しい声も柔らかい話し方も。
たわいないジョークも仕事の愚痴も。
あなたの語るすべてがわたしは好きだった。
あなたの紡ぐ言葉すべてをわたしは愛していた。
一人で月を眺めながら、
あなたのことを考える。
あなたのことを思っている。
あなたの傍でずっと生きていきたかった。
朝、あなたの腕の中で目覚める幸せを
ずっと感じていたかった。
それはもう、叶わぬ夢なのだろうけど。
せめて。
夜のとばりの中で、
あなたを思うこの間だけでも、
再びあなたに抱かれる日を夢見ても、
それくらいは許してください。
今もあなたを愛し続けることだけは、
許してください。
あなたを忘れられないこんなわたしを
許してください。