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都会の夜に見る夢は


都会の空港に降り立ったとき、空気がひんやりと肌を刺した。
それは気温の差だけではなかったと思う。
この街の何かがわたしの体温をじわじわと奪っていくのだ。
人混みの中を歩きながら、明日からの仕事に思いを巡らせる。
いかに効率よく仕事を終えるか、それだけを考えているとき、
わたしはなぜか少しだけ、身体の奥が熱くなるのだ。





電車に乗るのは嫌い。
他人の体温を自分の肌に感じるのは、愛する相手に抱かれるときだけでいい。
タクシーを待つ間、冷たい夜空を見上げると、
決して暗くならない都会の空が、わたしをじっと見下ろしていた。

渋滞に巻き込まれ、車内はエアコンが効きすぎて息苦しくなる。
こういうところも嫌いなのよ。
声には出さずに呟いてみる。
運転手が黙ったままでいてくれることが、ありがたい。
窓の外は、どこまでも続くビルの群れと
どこへ行くのか、たくさんの車の列。
じわりじわりと動くタクシーから、飛び降りたくなる瞬間。

ホテルはいつも少し贅沢をしてしまう。
ただ寝るためだけの部屋。
そう言ってしまえば、かなり贅沢なのかもしれない。
だけど。
この都会の街でホテルの部屋だけが唯一、
わたしの心安らぐ空間だから。

今夜の部屋もまた、とても機能的で、無駄なものが一つもない。
広いベッド。
一人で眠るには十分すぎる広さ。
冷たい夜を抱いて、わたしは浅い眠りを手に入れる。
明日の仕事を頭に描きながら、
手際よく、手順良く、無駄を省いて仕事が出来るように。

夢うつつで、幻を見る。
薄暗い部屋。
レエスのカーテンを通して、決して眠らない都会の光が
部屋を薄ぼんやりと照らしている。
誰かの気配を感じる。
わたしは驚かない。
ゆっくりと手をさしのべ、影をベッドへ招き入れ、
わたしは甘い吐息を漏らす。

影はわたしをゆっくりと抱きかかえ、
その腕の中に閉じこめると
うなじへと近づく。
わたしは影の腕の中で、すべてを脱ぎ去り、
生まれたままの姿。
影に誘われるまま、影と一つになって音楽を奏でる。

ふと目覚めると。
一晩中眠らなかった都会の夜明け。
夜明けの瞬間だけ、騒がしい街にも静寂が訪れる。

うっすらと空に明るく刺す陽射しを見つけ、
ほんの少しだけ明るい気分になる。

わたしは熱めのシャワーを浴びて、ミニのスーツに身を包む。
さぁ、戦闘開始。
ヒールの音を響かせて、取引先へと向かう。

そんな出張の一コマ。。。


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非公開コメント

そんなにえろくはないのですが。
どうしてこんなに魅かれるのでしょうか。
描いた人の本音の息遣いが切ない吐息とともにすぐ身近に思えるのは、私だけでしょうか・・・
プロフィール

まりあ

  • Author:まりあ
  • 普段はごく普通のOLですが、
    夜はエロ小説家気取りのまりあです。
    なかなか更新できないのですが、
    楽しんで書いていこうと思います。

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