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本当のわたし


本当のわたし

彼がわたしの部屋を尋ねる。
毎週木曜日の夜。
いつからだろう?そんな習慣。
お互いに、何を話すわけでもなく、何をするわけでもなく。
ただ、彼の好きなコーヒーを入れて、一緒にテレビを見たり。
音楽を聴いたり。
別々の雑誌をぱらぱらと捲ってみたり。





今夜も。
いつもと同じ木曜日の夜のはずだった。

だけど。
わたしは気付いてしまった。
あなたを想う気持ちは「友達以上」になっていること。
長い間言えなかったけど。
わたしは彼を好きなのだ、と。

彼とわたしは恋人同士ではない。
お互いに、恋人といえる存在は常にあった。
でも。
恋人とは、何だか、本当に分かり合えることは少なくて。
いつも悩んだときには、彼に相談していた。
心にキズを負ったとき。
わたしの相談相手はいつも彼だった。
ずっと昔にきっとどこかで出会っていたはずの人。
そんな気がして堪らなかった。
わたしたちはきっと、もっとずっと分かり合えるはず、と。

先週末、わたしは恋人に別れを告げた。
もう心がウソを付けなくなっていた。
彼を好きと、心が叫び出しそうだった。
その一方で。
彼とのこの関係を壊すのも怖かった。
もしも彼が、わたしを友達としてしか思っていなかったら・・・?
木曜日の夜のこの平和な時間がなくなってしまう。
にぎわう街の音が微かに聞こえるこの部屋で
彼の好きなコーヒーとタバコの香りに包まれて過ごすこの時間を
失いたくなかった。
彼のふとした仕草に心をかき乱されながら、
彼のわたしに対する想いを確かめる。
もしかしたら・・・
いいえきっと。
わたしたちは同じ気持ちなのよね?

ふと。
彼が顔を上げる。
瞳と瞳が合って、ドキッとした。
視線を外そうとしたとき。
彼の指がそっとわたしの指に触れた。
あぁ。
彼の指から温かな想いがわたしの中にゆっくりと流れ込んできた。
お願い。
何も言わずに。
わたしにキスして。

彼の顔がそっと近づいてきて。
わたしは瞳を閉じた。
確かめるように、ふんわりと彼の唇がわたしに触れる。
ちゅっ
小さく音を立てて、唇が絡まり合う。
ほんの少しの時間。
だけど永遠にも思える時間。
唇が離れたとき。
彼はそっと囁いた。
「俺はもう、ずっと前から分かっていたよ。」
そうだったんだ。
ごめんなさい。
わたしがずっと気付かないふりをしていたの。
ずっとわたしの傍にいてくれたのに。
だからわたしも答えたの。
「ずっと好きだったの。」
彼がわたしを抱き寄せた。
ギュッと腕に力がこもる。

もしもこのまま世界が滅びても。
彼がこうしていてくれたら何も怖くない。
昨日までのわたしは偽りだったの。
たった今からわたしは生まれ変わる。

今まで大切に育ててきた、
彼との絆こそが、わたしたちの愛の形。

ずっとわたしは彼の愛を探していた。
そしてついに、わたしたちはそれを手に入れた。


テーマ : ひとりごと
ジャンル : アダルト

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もう友達では苦しいの・・・

わたくしのカラオケの十八番に
今井美樹さんの「オレンジの河」があって(古いですわね(笑))
その一節がタイトルの言葉なんです
この歌はバッドエンドなんですけれど
ハッピーエンドなまりあさんが羨ましいです♪

存じ上げております。

今井美樹さんの「オレンジの河」
まりあも大好きです。
(祥子さんと同年代ですものね(笑))

今回は、ハッピーエンドになりましたけれど。
いつもいつも悲恋では
たとえ物語とはいえ、寂しいですから。

いつか、機会があれば、
「オレンジの河」をモチーフに
お話を描いてみたいと存じます。
プロフィール

まりあ

  • Author:まりあ
  • 普段はごく普通のOLですが、
    夜はエロ小説家気取りのまりあです。
    なかなか更新できないのですが、
    楽しんで書いていこうと思います。

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