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夢のひと雫
時々更新が滞りがちですが、結構楽しみながらやってますので、皆さんが楽しんでくれたらうれしいです。
オレンジ色の光る塔
彼は大学の同級生だった。卒業して彼は東京へ。
わたしはそのまま地元に残った。
わたしは彼を愛していた。多分彼もわたしを愛していた。
だけど。
お互い生き方が違うとあきらめていた。
数ヶ月後、仕事でわたしが東京へ行った日、彼と逢う約束をした。
彼の仕事が終わったら、わたしが泊まっているホテルの近くで逢う予定だった。
彼の仕事は遅くまでかかり、結局逢えたのは夜11時を過ぎた頃だった。
ホテルを出て、彼の待つ場所へ。
そして二人であてもなく歩き、話をした。
たわいない会話だった。
もうどんな話をしたか思い出せないほど。
公園の中を歩いていたら、不意に目の前にオレンジ色の光が現れた。
「きれいね。」
東京タワーだった。しばらくそこで、二人でそれを眺めていた。
目の前で電気が消えた。12時だった。
だけどわたしたちは離れがたく、明け方まで話し続けた。
翌日、お互いに仕事があるのは解っていたけれど、離れたくなかった。
朝4時に、「ずっとお前のこと好きだ」と彼が言い、わたしはホテルへと戻った。
そしてそれきり、もう二度と彼に逢うことはなかった。
今でもわたしの心の中には、オレンジ色の光る塔と彼の言葉が残っている。
